香港旅行の思い出 その2

香港・マカオには、3泊4日で行くことになっていた。

1、2日目を香港で過ごし、3日目はマカオに日帰り旅行。
4日目の昼過ぎに復路の飛行機に乗る予定だったと記憶している。

宿泊も、3泊とも香港であった。

マカオで過ごす時間は短くなるが、荷物移動が少なくて済むよな、マカオは世界遺産がたくさんあるから効率的に回らなければ、などと綿密に計画を立てた。

筆者もこの旅のために地球の歩き方を購入し、美味しいお店、二階建てバスの乗り方、などをワクワクしながら調べたのを覚えている。

香港のディズニーランド行ってみる?
いや、なんで野郎3人で行くんだよ。
しかも日本のよりもショボイじゃねーかよ。

そんなことをN君、S君と話していた。

旅の計画は楽しいものである。
これぞ、ツアーにはない醍醐味であろう。

準備が大変な分、積極的になるし、記憶にも残りやすい。
添乗員なしで不安もあったが、ちゃんと旅行保険も入り、旅行当日に備えた。

そして、とうとう出発日がやってきた。

羽田空港(だったと思う)で待ち合わせ、両替を済ませ、出国ゲートをくぐって、コーヒーで一息。

空港内の無機質な雰囲気。異国への冒険。
そんな非日常の状況が3人の神経を高ぶらせる。
普段から元気のいいN君はもちろん、大人しい性格のS君もご機嫌であった。

飛行機の座席はもちろんエコノミーだったが、機内食も設備も満足だった。
たくさん映画を観ようと思ったが、フライト時間は短く、すぐに香港に着いた。

香港は暑かった。
夏の終わりに行ったのだが、赤道に近いので、日本よりもずっと気温が高かった。
湿度も高く、空港の外に出るとすぐに汗が噴き出してきた。

しかし、そんな異国の気候は3人を悩ませるどころか、気持ちをハイにさせた。

浮かれていた。
3人とも間違いなく浮ついていた。

浮かれるな。
あの頃の3人にそう声をかけてやりたい。

ホテルに荷物を置いて身軽になると、いよいよ観光の開始である。

行き先は決めてあった。

ビクトリアピーク。

香港島に渡りトラムで丘を登る。
その丘の頂上からの夜景が有名なのである。

百万ドルの夜景。

それを夢見て、トラムに乗ったのである。

そして丘の上で、悲劇は起こるのである。

(続く)

 

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