イギリスに半年間住んでいたことがある。
以前にも書いたかもしれない。
仕事の一環だが、留学のようなものと言っていいのかもしれない。
英語は苦手だった。
それでも、留学前に勉強し、なんとか外国で生きていけるレベルにまでは上達した。
だが、最低限のレベルだった。
そのため、イギリスでは苦労の連続だった。
何しろ、アパート探しから銀行口座の開設、携帯電話の契約まで全て自分でこなさなければならなかった。
アパートの周りにも職場でも日本人はいない。
毎日のように、一人でパブに行って夕食をとった。
日本に置いてきた妻に、電話越しで涙したこともある。
辛かったが、筆者自身の中で大きな糧になっている。
英語はそこそこ上達したが、それでも満足はできなかった。
コミュニケーションには苦労しっぱなしだった。
帰国後、悔しさを胸に英語を勉強し続けた。
英語力をキープしようと続けていると、驚いたことに、イギリスにいたときよりも上達した。
これは驚くべき発見だった。
環境が悪くても、やる気次第で可能性が開ける。
それを学んだ。
そして、やる気を持ち続けること。
続けないと意味がない。
当たり前のことだ。
だが、これができる人間がどれほどいるか。
そういう経験を一度した人間でないと、なかなか最後までやり通すことができない。
腹落ちしていないからだ。
いつの日か諦めてしまう。
辛く、険しい道を通った者にしか見えない道がある。
それを体の芯から理解したおかげで、少々の辛いことも平気になった。
一度乗り越えてからだと思う。
それから、その人の本当の人生が始まるのだと思う。