妻を褒める

女性は褒められるのが好きな生きものである。

筆者の妻もそうで、たとえば髪を切ったときに、「似合っているね」などと言ってあげると、喜んでくれる。

逆に、妻が褒めて欲しいことに気づかなかったときは、少々面倒なことになる。

なんで気づかないの。
鈍感。ニブイ。
楽しくない。

こんなことを言って、すぐに不機嫌になる。

機嫌のいいときは楽しそうに話してくれるのに、不機嫌になると途端に無口になる。
そうなると、筆者が積極的に話さざるをえなくなるわけである。

しかし、残念ながら筆者には面白く話すスキルがないために、彼女は不機嫌なままである。
筆者の話に対し、つまらなさそうに相槌をうち始める。
どんな話をしてもそんな調子である。

そうなると、筆者も話すことがなくなってしまい、とうとう黙ってしまう。
すると、妻は何か話せと怒り始める。
しかし、何を話しても反応が鈍いので、結局また話すことがなくなり黙ってしまう。

負のループである。

筆者は気づいたのである。

面白い話をすることは、もちろん大事である。
しかし、それよりまず、妻を不機嫌にさせないことが必要である。

どんなに面白い話をしても、聞く方の準備ができていなければ無意味である。
笑える気持ちになれなければ、笑顔になるわけがない。

そのため、筆者は妻の機嫌を損ねないように細心の注意を払わなければならないのである。
気持ちの切り替えが上手でない妻は、一度機嫌を損ねると、機嫌が戻るまで時間がかかるためである。

筆者のトークスキルに、破壊的な面白さがあれば別であろうが、そんなもの持ち合わせていない。
(筆者も、そこまでのスキルを求めているわけではない。)

妻の機嫌をとる上で大事なのは、とにかく妻を褒めることであろう。

髪型似合ってるね。
可愛い服だね。
作ってくれた料理美味しいね。

とにかく、気づいた点を褒める。
自然に話をするための下地である。

しかし、ここで気づくのは、褒めるということは相手をよく観察しておかなければならない、ということである。

髪型を褒めるのであれば、髪型が変わったことに気づかなければならない。
服を褒めるのであれば、今までと違う服を着ていることに気づかなければならない。
料理を褒めるのであれば、以前の味やレシピと違うことに気づかなければならない。

毎日顔を合わしているんだから気づくでしょう。

女性はきっとこう言うであろう。

しかし、多くの男性は、女性の髪型や服装、料理にそこまで注意を払っているわけではない。
そして残念ながら、筆者も多くの男性のうちの一人なのである。

マメな男性はモテると言う。
モテる男性は、きっと女性のちょっとした変化に、敏感に気づくのだろう。

学生時代、もっとモテる努力をすれば良かった。

そう思う毎日でなのである。

 

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