表題の映画を観てきた。
滅多に邦画は観ないが、カンヌ国際映画祭で脚本賞を獲ったというから、
作家志望の筆者にとっては外せない。
脚本を書いたのは、坂元裕二という方。
『Mother』や『それでも生きていく』等、数々の名作ドラマの脚本を担当された方のようだが、
恥ずかしながら、坂元氏の作品を見たことがなかった。
確かに、脚本賞をとるだけのことはある、よく練られたストーリーだった。
鑑賞後の余韻もあった。
言葉にできない、という感想を述べている人もいるようだが、確かに考えさせられるストーリーだ。
それが作品の余白になっている。
エンタメよりの作品を書いてる筆者だが、目指す物語もこういう路線である気がした。
勧善懲悪やハッピーエンドは筆者の目指すところではない。
何か読者の心にザラザラとしたものを残す。
それがその人の血肉になるような物語。
映画の主題も良かった。
怪物、つまり、本当に恐ろしいのは何か?
人間が恐ろしい存在というのは、今までの作品でたくさん語られてきた。
しかし、この映画では別の切り口でアプローチしている。
普通に生きているはずの人々。
彼らも知らず知らずのうちに、怪物を作り上げているのだ。
空恐ろしさもあるし、身の引き締まる思いもする。
観た人の心に刃物をつきつけるような作品。
エンタメ作品もいい。そういう作品を求めている人もいる。
だが筆者も、いつかはこういう作品を書きたい。