SNSの普及により、誰もが簡単に自分の意見を言えるようになった。
これはすごいことだ。
インターネットの出現前は、(有名人はさておき)一般の人が広く社会に自分の意見を言う方法は限られていた。
精々、新聞等の一部メディアに投書し、それを載せてもらうくらいしか方法はなかった。
それが今では、(それがどれほど広く一般の目に触れるかはさておき)活字でも音声でも動画でも、ごくごく簡単に自分を表現して、多くの人に見てもらえる。
遠い存在だった有名人も簡単に自分の考えを表現していて、それに親近感を覚える人もいるだろう。
しかし、こういった人間の意見・考えの氾濫が、社会的な問題にも繋がっている。
一部有名人への心無い批判や、一部の人種や信仰に対するヘイトなどだ。
なぜ、そういった他人を攻撃する人たちが現れるのだろう?
筆者は、これは結局、人間の防衛本能が働いているのだろうと思っている。
つまり、攻撃する人は、不安を覚えているのではないだろうか。
自分の好みや考えに反するようなことに触れると、居心地が悪くなったり、心が落ち着かなくなる。
だから、心の安寧を得るために、その原因を排除しようとする。
それが、攻撃に繋がっているのだろう。
簡単に人の頭の中を覗けるようになった。
だが、覗いてみたら、自分とは違う考え、趣味嗜好に合わない考えが世の中には溢れていたのである。
インターネットが普及するまでは、それがわからなかった。
自分の考えが標準だ。自分はまともだ。
しかし、SNSを覗くと、おかしな意見で溢れかえっている。
みんなバカなことばっかり言っている。
正してやらないと。
まるで猟奇的殺人犯の言い分にも聞こえる。
恐ろしいのは、ある程度成熟した人間でも攻撃をしかねない点だ。
精神状態が悪かったり、酒が入っていると、自分を見失って攻撃する可能性もある。
世の中に対して、気軽に意見が言える。
皆がそれを目にすることができる。
それがどれだけ恐ろしいことか。
それを自覚している人が、一体どれだけいるのだろうか。