雨の日が好きだ。
でも濡れるのは嫌なので、正確には雨の日に家にいるのが好きだ。
雨が地面を打ち付ける音、窓に当たる音。心地よい。
ガラスについた雨雫が落ちていく様を見るのも面白い。
特に良いのが、予定が雨でキャンセルになり、時間を持て余してるときの雨。
ドビュッシーの『月の光』なんかをかけて、アンニュイな雰囲気を作ってみたりする。
そしてぼんやりと寝転びながら、窓の外の曇天を眺める。
色んな考えを廻らせ、いつの間にか眠りに落ちる。
あくせく動くよりも、ゆっくりとしている方が好きなタチだからだろう。
こんな休日があれば1日寝ていても、満足感を得られるのは筆者だけだろうか。
起きたら美味い酒と肴があればなお良い。
でもそんな自堕落を妻は許してくれないので、そんな幸福はここ数年ないのだが。
雨の降り始めに香る特有の匂いがある。
湿っぽい匂い。建物についた埃が落ちるときの匂いなのだろうか。
いい匂いとは言えないけれど、あの匂いを嗅ぐと、少し心が落ち着く。
雨の到来を告げる香り。
忙しくて、しばらく雨の日のことなんて忘れていた。
年に1、2度は、ゆっくりと家で雨音に耳を傾けるのも良い。