飲み会の幹事が得意な人がいる。
仕事の出来不出来はさておき、職場で飲み会を開くなると途端に積極的になり、幹事を買ってでる人である。
みんなでワイワイするのが好きなのであろう。
また、その場を盛り上げたいというサービス精神も旺盛なようである。
かたや筆者は、そういうのが苦手である。
飲み会をやろうとなり、幹事を誰にするかの話題になると、途端に口数が少なくなるタイプである。
シャイ。サービス精神なし。面倒くさがり。
これら全てが、妻に直せと言われている筆者の性格である。
そんな筆者に、大役が回ってきてしまった。
筆者の職場と、仕事で関係のある二社との三社合同での飲み会の幹事である。
人数は25名ほど。
それほど大規模ではないが、先方は部長クラスの方も来るから粗相はできない。
それに、幹事は筆者一人。
スケジュール調整は勿論、会場の選定、会の司会までする何でも屋。
ちょっとヘヴィな役回りである。
何度も下見を行なった上で店を決め、会次第も考え、挨拶の根回しも行なった。
もちろん、筆者一人でである。
なかなか骨が折れるのを分かっていただけるだろうか。
おそらくこういう時、何度も幹事の経験がある人なら、押さえるべきポイントがすぐに分かり、店も自身のストックの中からすぐに選び出せるのであろう。
今までは幹事の仕事を少し甘く見ていたが、いやはやどうして気を使う仕事である。
最終的な案内メールも出し、あとは会を開くだけとなった当日、事件はおきた。
会の主役の一人、筆者の同僚が職場に来ていないのである。
その同僚は、今は異動して別の部署にいるが、とあるプロジェクトでマネジャーをしていた中心人物であった。
そして、その同僚には会の途中で挨拶も頼んでいたのである。
ただ、挨拶OKというキチンとした返事をもらえていなかったのが、少し気がかりだった。
当日朝。
出社して、その同僚の在籍状況を確認。
不在。
なんとなく嫌な予感がしつつも、午後から出勤かなと自分を納得させる筆者。
しかし昼休みが終わっても不在。
もう少し待ってみよう。
夕方3時。不在。
たまらずその同僚の部署に電話。
すると、
「〇〇さんは本日お休みです」
えっ。
休暇理由を聞いても電話口の男性は把握しておらず。
えっ。
どういうこと?
焦る筆者。
欠席ついては、何も連絡はない。
ということは、休暇は取ったが、会には出席するということか?
いや、ここで楽観視するのは良くない。
ということで、本人に電話。
電話口に出た同僚に名前を告げると、「ああ・・・」という鈍い反応が。
筆者「今日お休みだったみたいですけど、出席できそうですか?」
同僚「・・・ああ、うん。・・・いや、子供が熱を出してね。・・・うん。・・・もうキャンセルできないんだよね?」
筆者「案内メールに書いたとおり、キャンセルは前日までなんですよ。当日キャンセルは支払いが発生します。」
同僚「うん、そうだよね。・・・うーん、何だろ。・・うん。行こうとはね、思ってるんだ。・・・うん、行く予定です。」
こんなにも煮え切らない返事を聞いたことあるだろうか。
行きたくない感が、ムンムンなのである。
「分かりました。でも無理しないでください。もし難しそうであれば、またご連絡ください。」
そう言って電話を切る筆者。
案の定、しばらくして「やはり行けません」という連絡が。
さあ、困った。
三社の各代表者1名が挨拶する予定だったのだが、1名欠けてしまったのである。
アンバランスである。
仕方なく、他の同僚に代役を頼むことに。
ありがたいことに、会の主役でもなんでもなかった別の同僚が、嫌々ながらも引き受けてくれた。
そして店に電話。
交渉の結果、キャンセル分は料金を取らないとのこと。
ホッと一安心。
そしてその後、店までの引率、会の進行を何とかこなし、無事役目を全うしたのであった。
やれやれである。
トラブルというのは大事な時に限って起こるものである。
幹事は勉強にはなるが、あまりやりたくない役目である。
特に今回のような大事な会の幹事は。。
これからも、飲み会の幹事を決めるときは、ひっそりとしておこうと思った筆者であった。