三十代も後半に差し掛かってきた筆者。
若い頃と比べると、身体的・精神的・周囲の環境と様々な変化がある。
当然ながら、いいこともあれば、悪いこともある。
いいことで言えば、精神的・金銭的な余裕ができたこと、そして子供ができたこと。
精神的な余裕は、色々な経験から得られたものだ。
しかし、経験することで失われるものもある。
瑞々しい感性。若いがゆえに気づくこと。
若いときに受けた衝撃は、中年以降では決して得られない。
これは作家を目指す筆者にとっては、痛い。
若い感性で書けていたことが、今は難しい。
もう感性では書けなくなっているのだ。
他方で、年をとるとできることもなる。
他人の感情の機微。それを感じ取れる。
だからなのだろう。
年をとった作家の方が、人間味のある重厚な物語を書ける。
読者の共感を得られ、誰が読んでも面白い物語は、年輪の多い作家だろう。
筆者は、若い頃に世に出られなかった。
もう筆者の感性で勝負することはできない。
だから、これからは培ってきた経験で勝負する。
概して、息の長い作家というのは、感性だけでは勝負しない。
それを言い訳に、もう少し夢を追いかけようと思う。