自慢ではないが、筆者はスリムである。
身長は180センチを超えているのに、体重は60キロ台前半。
スリムというより、瘦せぎすという表現の方が適切かもしれない。
もともと太りにくい体質なのである。
他人より食べる量は多いが一向に体重は増えない。
代謝がよく、汗かき。
排便の回数も多い。
子供の頃、食べても食べてもなかなか太らない筆者に、母は食べさせ甲斐がないとよく嘆いていた。
一方で、食事を抜くとみるみるうちに痩せていく。
久しぶりに会う人にはよく「痩せた?」とよく言われる。
仕事が忙しいときは大変である。
食べる時間がなくて、夕食をおにぎり二つとサラダなど、簡素な食事で済ませてしまうことがよくある。
そんな生活を一ヶ月でも続けていると、あっという間に5キロくらい痩せてしまう。
顔から痩せる傾向にあるので、みるみる頰がこけていく。
ダイエット効果てき面である。
このことを他人に話すと、必ずと言っていいほど羨ましがられる。
食べ放題じゃん。
何を悩むことがあるの?
しまいには、自慢してるのか、と怒られる始末。
しかしこれが意外と大変なのである。
毎日一定量を食べ続けなければいけないのだ。
これが辛い。
食費は掛かるし、常に「食べなければ」という強迫観念がつきまとう。
頑張ってモリモリ食べていると、ダイエット中の人が気を悪くしないか等、いらぬ心配をしてしまう。
ジャンクフード食べたら太れるよ。
そんなことを言われる。
しかし、そういうことではないのだ。
カップ麺やポテチ、ビールで腹をボテリと出したいのではない。
健康的に太りたいのだ。
頑張って太った結果健康を害していては元も子もない。
先日、職場の同僚と会話していて、体型の話題になった。
皆、筆者の体型を羨むので、
「いやぁ、体質なんですよ。うっかりご飯を食べ忘れるとすぐ痩せちゃって。困ってるんです」
と言ったところ、非難轟々。
言ってる意味がわからない。
うっかり食べてしまうことはあっても、食べ忘れることはない。
毎日ラーメンでも食ってろ。
こんな調子である。
周りは敵ばかりである。
あまりにひどい反応なので、筆者の体質がいかに大変か、説明する気も失せてしまった。
しかし、このままではいけない。
逃げていてはいけないのである。
痩せやすい人の苦しみを説いていかねば。
筆者は固く心に誓ったのである。