何年か前に、NHKで「夫が妻にキレるわけ」という特集をやっていた。
近年、キレる妻が急増しており、精神的に虐待されるケースが急増しているというものだ。
その番組によると、妻がキレる原因は、妻が日々の生活で不公平感を募らせているかららしい。
女性の社会進出は進むものの、家事育児は相変わらず女性に押し付けられる。
そのため身体的・精神的疲労が溜まり、それが夫の心ない言葉や態度がきっかけで爆発してしまうというのだ。
その特集では、とにかく夫が妻の話を聞き、妻の心情を察してあげるのが重要と結論付けていた。
つまりは、妻の状況を考え、心に寄り添うのだ。
結論はシンプルだ。
言葉だけ聞けば自分でもできそうな気がする。
しかし、実際のところ、筆者はこれが中々できていなかった。
妻に何度もキレられた筆者は、そのキレっぷりに恐れをなし、妻から逃げることを選択していたからだ。
以前にも書いたかもしれないが、暴力も振るわれた。
(さすがに、これは妻自身も反省していたようだが)
筆者のやることなすことが全て気にくわないらしく、ひどく罵られもした。
その結果、筆者の心に一種のトラウマのようなものができてしまったのだ。
自然と妻を避けるようになり、妻の顔色を伺いながら、妻の嫌がることをしないように気をつける毎日になった。
しかし、それでは心の交流は生まれない。
妻の心は満たされず、イライラは解消しない。
だがその頃の筆者は、どうすればいいか分かっていなかった。
いや、うすうす分かっていたが、妻が怖くて逃げていたのが本音だ。
子供ができたことがきっかけで、その流れは徐々に変わっていった。
お腹が大きくなり、妻一人ではどうにもならないことも増え、自然と二人が顔を合わせる時間が増えた。
そして出産。二人で話す時間はますます増えた。
未だに衝突はたくさんあるし、妻が怖いなと思うときもある。
しかし、徐々に妻が何を求めているのか分かってきた。
妻との時間をとおして筆者が学んだことは、例えば以下である。
①妻の言葉を額面どおり受け取らない。
②こまめに心配してあげる。
③妻の身体に触れる。
④妻の悩みに答えを出そうとしない。
⑤なるべく妻の望みをきいてあげる。
①②は妻特有なのだろうか。
プライドが高い妻は、中々弱いところを見せようとしない。
だから本当は力を貸して欲しいのに中々それが言えず、イライラしてしまう。
③は、妻の愛されたいという気持ちに寄り添うものである。
以前「あなたは私のことなんて好きじゃないんだ」と言っているのを聞き、そうじゃないことを示すために触れている。
触れると、少し心が落ち着くようである。
④は女性に接する際の一般的なマナーではないだろうか。
女性は答えを求めていない。
悩みを聞いてもらい、共感されることを期待しているのだ。
⑤は中々出かけられない今の時期特有かもしれない。
美味しいものが好きな妻のために、どこか出かけたついでに買ってきて欲しいものを言われたら、必ず買ってくるようにしている。
①ー⑤は全て、妻の心に寄り添うことが根底にある。
つまり、妻の心を満たすためには、結局逃げずに妻と向き合わなければいけないのだ。
そんなことは前から分かっていた。
だができなかった。
今回子供ができたことがきっかけで、できるようになったのだ。
子は鎹(かすがい)。
生まれてきてくれた子供に感謝である。
筆者と同じような境遇の男性もおられよう。
もしそんな人にアドバイスするなら、こうだ。
今奥様から逃げている人がいても、決して筆者はそれを責めない。
その逃げたい気持ちは痛いほどわかる。
だから、逃げたいときは逃げればいい。
そのうちきっと、修復のチャンスがくるはずだ。
だから、どうかそのチャンスは逃さないで欲しい。
チャンスを逃さないようにするには、奥様をいつも気にかけていないといけない。
どうか、奥様を愛して欲しい。
どんなに苦しい気持ちになったとしても奥様を辛抱強く愛して欲しい。
その気持ちは、きっと奥様に通じるはずなのだ。