人間、それまでの人生できちんと学んできたつもりでいても、
何かの知識がぽっかりとが抜け落ちていることはあるだろう。
たとえば、筆者の父親であれば、お菓子売り場で「最中」という漢字を見て、
「さいちゅうって、何や?? おもろそうやんけ。食べてみよかな」
と言ったり、
筆者の場合だと、「忌引」をずっと「いびき」と読んでいたり、といった具合である。
(筆者の家系は、どうも漢字に弱いらしい。)
筆者は上記のような現象を、「知識の抜け落ち」と呼んでいる。
そんな中、最近、筆者の中に割と大きめの知識の抜け落ちがあったので
恥をしのんでご紹介したい。
筆者にとって弱い分野に「音楽」がある。
音楽を聴いたり、歌ったりすることは好きである。
しかし、それを体系立てて学んだことがない。
学生時代の音楽の授業なんて、先生の教えてくれたことは、右耳から左耳に抜けていった。
そんな筆者が最近はまっていることがある。
それは
ギターを弾くこと
である。
少し前に知り合いにギターを譲ってもらったことをきっかけに、ギターを習い始めたのだ。
最初は弦を押さえるのにも一苦労だったが、ほんの少しずつ、
徐々に徐々にスムーズに弾くことができるようになってきている。
初心者最大の壁と言われる「Fコード」も、それほど苦もなく押さえられるようになった段階である。
習い始めの頃、先生に「きらきらぼし」を習った。
ドドソソララソ ファファミミレレド ・・・・
誰もが知っている簡単な曲だし、初心者にはうってつけの曲である。
初心者ということで、指の動きも簡単になるよう工夫してくれたようである。
「ここをドにして始めるのが簡単ですからね。こうやって、ドドソソララソ・・・」
確かに簡単で、きらきらぼしはすぐ弾けるようになった。
そうやって、先生に言われるまま習っていった筆者。
最初は完全に受け身の授業だったが、少しずつうまくなるにつれ
ギターが楽しくなり、自分でも本をギターの本を買って勉強するようになった。
そしてそこで気づくのである。
「あれ、先生が教えてくれたきらきらぼし、出だしのドって、ソじゃない?」
そうなのである。
筆者が習っていたきらきらぼしは、ドドソソララソ・・・ではなく、
キーが7つ高い(#7)、ソソレレミミレ・・・だったのである。
しかし筆者は、ここで混乱してしまう。
「なんで、ソから始めて、きらきらぼしに聞こえるの?」
実は筆者、キー(#、♭)という概念をちゃんと理解していなかったのである。
もちろん、#(シャープ)や♭(フラット)という言葉や、
その意味(半音上がる、半音下がる)は知っていた。
しかし「ドレミファソラシド(#音を含む)」が、隣り合う音が半音差にあること、
そのうちのどこかを起点にして半音ずつあげて弾いていくと
「ドレミファソラシド」のように聞こえてしまうことは、全く知らなかった。
ふと振り返ると、カラオケなどで「キーの調整」というのがあった。
自分が歌いやすいようにキーの高さを、#4や♭3等に変更できるが、
あれは上述のものと同じ原理だったのである。
目から鱗。
幸いにして、自分で気づいたため誰かにバレることがなかったので良かったが、
もしこれが宮中晩餐会などでバレていたら大変であった。
一族の恥である。
※完全な妄想である。
新しいことにチャレンジすると、新たな発見があって楽しいと気づいた一件であった。