先日、テレビで台湾の桜について特集がされていた。
20年ほど前から桜の植樹を行い、桜の名所になる場所も生まれているそうだ。
それでふと、台湾人の桜好きを思い出した。
筆者にも台湾人の友達がいる。
仕事の関係で仲良くなった友人だ。
6年ほど前、出張で2週間ほど台北に滞在した。
時期は一月下旬から二月上旬。春節の直前であった。
ちょうど桜の季節でもある。
そこで仲良くなった同い年の陳さんと彼の同僚に、猫空(マオコン)というお茶の産地に連れて行ってもらった。
平日の午後、仕事をサボって行ったのだが、その辺りのことは、台湾人は割とゆるい。
郷に入っては郷に従え。筆者も喜んで同行した。
地下鉄でロープウェイ乗り場まで行き、30分くらいかけて山の上まで移動。そこから目的地まで少し歩く行程。
当時筆者は独身だったので、同僚たちからどんな女性が好きなのか、昔の彼女はどんな人だったのか、と散々聞かれたのをよく覚えている。
台湾人にはおせっかいな人が多い。
筆者はあまりそう人たちが好きではないのだが、彼らのおせっかいは不思議と嫌な感じはしなかった。
目的地までの道すがら、一本のひょろっとした桜の木があった。
日本ではどこにでもありそうな木だ。
しかしその木を見た陳さん一行の顔がぱっと華やいだ。
スマホを取り出し、カメラを木に向ける。
「Sakura!」
咲いていたのは一本の枝に2、3輪程度だっただろうか。
満開から程遠い状態だったのだが、陳さんはものすごく嬉しそうで、バシャバシャと花の写真を撮った。筆者との2ショットや、通りがかった美女の写真も撮りだす始末。
「台湾人は、桜が大好きです。いつか、日本の上野公園にも行ってみたい」
台北で出会った人に、よく言われた。
京都、桜、紅葉、雪、寿司。
上記は台湾人が日本で堪能したいものベスト5である(筆者調べ)。
日本統治の時代もあったため、日本文化に対する馴染みや憧れがあるようだ。
(もちろん、中には日本に負の感情を持つ人もいる。)
統治は負の歴史だが、外国に憧れているといわれると嬉しい気がする。
その出張以降も一度台湾に遊びに行ったし、陳さんや同僚も何度か日本に遊びに来てくれた。
台湾人にとって、日本は近くて行きやすい場所なのだ。
欧米に行くのと比べて経済的にも安価だし、治安も良い。
しかし最近、陳さんたちの目は日本よりもヨーロッパに向かい始めたようである。
新婚旅行はロシアに行ったと言っていた。
真意は聞いてないが、もしかしたら、彼らの中で日本のランクが、諸外国と比べ相対的に低下しているのではないか。
まだまだ彼らに憧れられるような日本でい続けたいと願うのは、筆者の傲慢であろうか。