プライベートの人間を相手にする仕事

芸能ニュースなどを見ていると、つくづく自分の仕事は楽だなぁと思う。

こうは書いたが、筆者の仕事にもきちんとノルマがあるし、それを毎月こなさなければならないのは大変だ。

 

しかし、芸能の仕事やサービス業に比べ、筆者のような机に向かって自分の作業に没頭できるタイプの職業は、圧倒的に楽だ。

 

何が楽かというと、筆者の仕事は対人関係が限られていて、しかもその相手というのもまた仕事をしている人間であることだろう。

つまり、筆者が相手にする人間もまたビジネスのために筆者とやり取りをする人であり、そういう人は基本的には礼儀作法がしっかりとしている。

 

一方で、芸能やサービス業に従事する人は、完全にプライベートの人間を相手にしなければならない。

 

人の目がある会社や近所では自分を抑えている人も、プライベートでは’たが’が外れての暴言を吐いたりする人もいる。

そんな少々攻撃的にもなりやすい人間を、彼らは相手にしなければならないのだ。

 

サービス業の中でも、レストランやアパレルなど、人間と直接コミュニケーションをとる職業はまだマシかもしれない。

周りの目もあるし、生身の人間を相手にするのだから、よほどネジの飛んだ人でない限り、客側も相手が嫌な顔をしたら心のブレーキが働くだろう。

 

そういう意味で辛い仕事なのは芸能の仕事だ。

 

彼らは、家でソファで寝そべりながら、すっかり自制心が緩くなった人間を相手にしなければならないのだ。

特にSNS全盛の今は、ソファの上で感情に赴くままに書いた誹謗中傷が、グサグサと芸能人の心に刺さり、彼らの心を疲弊させている。

書き込んだ人間も、落ち着いて考えれば、自分のコメントが相手をどんな気持ちにさせるかわかるはずなのに、気持ちが緩んでいるために、それを考えることなく発信してしまうのだ。

そして、そんなコメントをもらった芸能人がもし泣いていたとしても、コメントを書いた人間はそれを知る由もない。

だから、相手の気持ちも想像できずに滅多打ちの袋叩きにするのだ。

 

つくづく芸能人というのは、鋼のメンタルを持っていないと務まらないな、と思う。

 

ただでさえ、明日の仕事が保証されていない、不安定な立場なのだから、普通の職業についている人間よりも、精神のバランスを崩しやすいだろう。

 

その上でさらにSNSの相手もしなければならないのだ。

(人気商売をする彼らにとって、SNSは今やビジネス上必須のアイテムだからやめるのも難しいのだろう。)

 

心ない書き込みをする人は、もう少し、相手のことを想像してから書き込んでほしいと本当に思う。

 

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