妻と外出するときは

ツンデレという言葉がある。

皆といるときはツンツン、つまり他人にキビシイ態度をとるくせに、恋人と二人きりになると、急にデレデレする様のことを言う。

多くの男にとって、ツンデレの女性は魅力的に映るのではないだろうか。

自分だけに見せる甘えた表情。
二人きりになった途端、モジモジしながら身体を摺り寄せてくるのである。

最高ではないか。
男なら、一度はそんな思いをしてみたいはずである。

しかしこれが逆だったらどうだろうか。

皆といるときは、周囲に愛くるしい笑顔を振りまくのに、二人きりになると急に目が吊り上がるのである。
同じ注意を繰り返させたときに、ワナワナと震える唇。
自分に向かって飛んでくるコップ。

勘弁である。
この人は二重人格ではないか疑ってしまう。

懸命な読者であれば誰のことを言っているのかわかるであろう。
そう。筆者の妻である。

これまで何度も書いているが、筆者の妻はキビシイ人である。

しかし一方で、周囲の人間の評判はすこぶる良い。

筆者の両親も、良い娘さんだと絶賛している。
彼女のカウンセラーも、彼女の印象があまりに良いので、夫婦関係が悪いのは筆者のせいではないかと疑っていたくらいである。

皆騙されているわけである。

妻は、周囲に気配りする人である。
周囲の人に不快な思いをさせたくない。良い印象を残したい。

そう思って振る舞うあまり、気疲れして、ちょっとしたことでイライラしてしまうようである。

彼女が筆者に対してイライラする原因は、主に以下の三つである。

・二人でいてもつまらない。
・筆者の気が利かない。
・何度も同じ注意をさせる。

一つ目はこれまで何度も書いたとおりである。

筆者の話がつまらないのである。
だからこうして、せっせとエッセイを書いているわけである。

二つ目は、要するに、女性としてエスコートして欲しいのである。

車で出かけるときは、いつも筆者が運転(妻も免許を所有)。
二人で出かけるときは、カバン以外の荷物は筆者が持つ。
料理をとり分けるとき、美味しい部分は彼女の皿に。
他多数。

三つ目であるが、彼女は同じ注意を二度するのが嫌いなのである。

朝起きたときにカーテンを開けない。
カバン以外の荷物をもたせた。
話をしてもいないのに口を開けている。
外出時にベランダの窓を開けたままにしている(夫婦はアパートの二回に居住)。
二人でいるのに、しばらくの間沈黙が続いた。

等々、繰り返した過ちは、枚挙に暇がない。

上記のとおりであるので、外出時は、筆者の気が休まらない。
彼女をエスコートしつつ、時折面白いことを交えながら、常に話題を提供し続けなければならない。
車で出かけたときは、好きなビールも飲めないわけである。

元々シャイで口下手で一匹狼だった筆者には、かなりハードルが高いのである。

もちろんであるが、上述の内容全てを実践できているわけではない。
一つでもできないことがあると妻がツンツンしてしまうので、一向に夫婦生活が改善しないのである。

まだまだ道のりは険しいのである。

 

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