家を買う①

ここ半年ほど、一軒家を探していた。

子供が生まれ、住んでいるアパートが手狭になってきたからだ。

 

しかし、探せども探せども、いい土地が見つからない。

ネットで見ていいかも、と思っても既に売れていることもしばしばあった。

コロナの影響で、戸建ての需要が高まっていたのだ。

 

そんな中、希望に沿う分譲地が売り出される、という情報を得た。

 

駅近で、小学校も近い。

ほとんどの区画は小さいが、一つだけ、広さの割に、かなり手頃な土地がある。

日当たりも確保できそう。

 

妻の希望で日当たりは絶対条件だった。

これだ、と思い、資料を取り寄せる。

競合するだろうな、と思っていたが、希望者が複数いる場合は、抽選があるらしい。

 

完全に運。

だが、公平なやり方だ。文句はない。

 

不動産会社と連絡をとり、建物の要望を伝える。

すると、二、三日で、美しい外観や間取り、見積もり案が出てきた。

仕事の早さにびっくりする。

 

しかし、抽選になれば、この労力は徒労に終わる可能性もあるのだ。

 

聞けば、他に4組ほど、同じ区画を希望している人がいるらしい。

 

倍率5倍。

絶望感しかない。

 

妻に伝えると、それまで乗り気だった妻のやる気が一気に失せてしまった。

 

とはいえ、当選の可能性もあるのだから、手を抜くわけにもいかない。

 

幸運を引き寄せるコツは、とにかくチャンスに挑むことだ。

できることを一つ一つ積み重ねた先にしか、幸せはない。

 

希望していた区画は、やはり、一番人気とのことだった。

 

他の区画に比べ、坪単価が低いだからだろう。

土地の形が綺麗ではなく、道路から奥まっているのだが、それさえ気にしなければ、ゆったりとした家を建てられる。

 

いい家に住みたい。

その一心で不動産会社との打ち合わせを何度も重ねた。

建売りの家にも見学に行き、仕様に反映させようとした。

 

そして、ついに抽選当日がやってきた。

 

(続く)

 

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