怪我をしても、時間の経過とともに治癒していく。
動物の体はそうできている。
でもそれは外身だけでない。
内側もそうだろう。
つまり、心のことだ。
辛い経験をしたとしても、時間が経てば幾分か心は楽になる。
辛い記憶が薄れる、というのもあるが、ひょんなことから自分の中で折り合いがついたりもする。
考えてみると、人間関係もそうだ。
喧嘩をしても、時間をおけばお互いの熱が冷めて自身の間違いにも気づけるし、相手のいい面を見たりして考えが変わることもある。
あらゆる傷は、無理に治そうとしない方がいい。
治そうとして、傷口をいじると、余計に悪化する。
手術は他に手の施しようもないときにやるものだ。
自然治癒が一番良い。
一番負担が小さい。
時間をおく、それはつまり、何もしないということだ。
体なら、傷口を清潔にして乾かしておく。
心なら、傷の原因となったものに近づかないようにする。
人間関係なら、その人とは距離を置く。
そうして、機を見てアクションを起こす。
患部を動かしてみたり、トラウマに向き合ってみたり、嫌いな人と話してみたり。
もちろんアクションを起こすのは、傷を治したいのであればの話だ。
そのままでいいのなら、放っておけばよい。
時間以上に効く薬はない。
どうにもならないことは時間に任せ、その間に他のことをする。
それが、人生を楽に生きる知恵のような気がしている。