近所によく利用するパン屋がある。
個人経営で、店員さんは一人。
店内も小さく、一度に一組しか入れない。
だが美味しく、開店と同時に行列ができる人気店だ。
そのパン屋が、8月中休んでいた。
閉店したのかと心配していたのだが、9月になって復活。
先日利用したとき、偶然行列ができていなかったので、店員さんと話をする時間がとれた。
そこで1ヶ月休んでいた理由を聞いてみた。
店員さん曰く、毎年8月は休暇をとって山に行っているらしい。
自然が大好きで、山登りシーズンの到来とともに、山にこもるそうだ。
もともと会社勤めをしていたが、休みがとれないので、辞めて今の店を始めたのだという。
個人経営だから、休みも自由に取れるというわけだ。
一緒に話を聞いていた妻は、山にかける想いに「この人、タダ者じゃないわ」と感じたそうだが、
筆者は、本当に幸せな生き方はこれかもしれないな、と思った。
今の組織に所属する仕事は、やはり筆者の性に合わない。
仕事に打ち込んでいるから、充実感がないわけではないが、
毎日判で押したように出勤し、休みも自由にとれず、組織内の人間関係に神経をすり減らす。
そんな仕事に心からの喜びは見出せない。
今の筆者は、完全にお金のためだけに仕事をしている。
悲しいが、それが現実だ。
今の職場が悪いというわけではない。
きっとどの職場でも同じようなものだろう。
組織とはそういうものだ。
もちろん、自営業は自営業の不安やストレスがあるだろう。
しかし、好きなこと、興味のあることで自営業をやる方が、仕事に前向きに取り組めるはずだし、
仕事の結果得られる対価にも納得できるはずだ。
今、筆者には組織を辞めて生きて行くためのプランがある。
しかし、それが実を結ぶのは、まだ5年ほどかかる見込みだ。
リスクの低い方法をとろうとしているから、時間がかかるのは仕方がない。
地道に続けるしかない。
強い想いを持って。