馬鹿だから叶う夢

夢を持っていたとする。

そしてその夢を叶えるには、多くのハードルがあるとする。

たとえば、医者になりたいという夢を持っていたとする。

あくまで例だから、他のものでもいい。

人気のユーチューバーになりたいという夢でもいい。

医者になるには医学部に行かなければならないし、そのためにたくさん勉強しないといけない。

ユーチューバーにはすぐになれるが、面白い動画を作って人気を得るには、色々と試行錯誤が必要だろう。

仮に自分が満足いく動画が作れたとしても、それが世間に受け入れられるかはわからないし、何よりそういった努力をしている人は、このご時世大勢いるので、それを押しのけてまで人気が出るかもわからない。

夢は、それが大きければ大きいほど、叶えるためには労力が必要だし、運も必要になる。

だから、子供の頃に大きな夢を持っていたとしても、成長して、その夢を叶えるために必要なことがわかってくると、途端にそれを諦めてしまう人が多い。

そういう人は、賢い人なのだろうと思う。あるいは、単に楽な人生を歩みたい人か。

大きな夢を叶えるよりも、確実に叶えられる手ごろな夢に方向転換して、そこそこ幸せな人生を歩む。

それもまた人生だ。

一方で、大きな夢を叶える人は、天才か、あるいはある意味馬鹿な人だろう。

天才なら、何の努力もせずに、結果を出す。

でも世の中のほとんどは天才でない。

だから、大きな夢を叶えようとする人は大概馬鹿だし、そういった人には努力や運が必要になる。

そういう人たちは、長期にわたって努力を継続する必要がある。

稀にふとした拍子に大成功を納める人もいるけれど、それは例外だ。

多くの人は、わずかな可能性に賭けて、涙ぐましいくらいの努力を続けるのである。

先のユーチューバーの例で言えば、人気が出るかどうかもわからないのに、毎日ネタを考えて、動画を撮って編集し、アップロードするようなものだ。

普通の神経では続かない。二週間が限度だろう。

そういった人は、やはりどこかおかしいのだ。

そういう筆者も馬鹿な人間の一人だ。

毎朝早起きして一時間ほど小説を書いている。

そんな生活を何ヶ月も続けている。

遅筆な方なので、このペースで行くと、構想を練る期間も入れて一作書き上げるのに一年以上はかかるだろう。

書き上げたところで、それはとんでもない駄作かもしれないのに。

やはり普通ではない。

正気の沙汰ではない。

でもそんな尋常ではない人しか、大きな夢は叶えられないのだ。

 

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