映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されたので、早速鑑賞した。
IMAXもあるようだが、今回は時間の都合で通常の字幕上映をチョイス。
英国から世界的に超人気となったロックバンド「クイーン」のヴォーカル兼ピアノ奏者であるフレディ・マーキュリーが、メンバーと出会ってから、20世紀最大のライブイベント「Live Aid」で圧巻のパフォーマンスをするまでの半生を描いた伝記的映画である。
何を隠そう、筆者はクイーンのファンであり、一時期狂ったように彼らの音楽を聴いていた。
映画の感想を言う前に、クイーンを知らない人のために、まずは彼らの魅力を語らなくてはなるまい。
何よりもまず、ヴォーカルであるフレディの歌声である。
圧倒的な音域と声量。
高音で粘着質な歌声だが、美しい。
男性で美しいと感じることのできる数少ない声であろう。
そして、常識に囚われない、高熱量の音楽。
映画の題名と同じ曲名で、彼らの代表曲の一つに「ボヘミアン・ラプソディ」がある。
それを初めて聴いた時、頭の中が混乱したのをよく覚えている。
一曲の中にロックやオペラ、バラードが詰まっているのだ。
しかも音楽は重厚で濃密。
まるで一つの物語を読んだ後のような感覚。
何度も何度も聞き直して、ようやく理解することができた(気がした)。
他にも、奇抜なビジュアル、ミュージックビデオの斬新さ等々が彼らの魅力として挙げられる。
そして、フレディ・マーキュリーの早すぎる死。
享年45歳。
エイズを起因とする死。
これらの事実が、結果的にクイーンを伝説のロックバンドに昇華せしめたと言っても過言ではない。
音楽だけでなく、その生き様も注目を集めたアーティストだったので、映画に彼らの魅力が反映されているのか少し不安だった。
しかし、それは杞憂だった。
文句なしに素晴らしい。
映画の中でかかる音楽に何度も心を震わされた。
それもそのはず、映画で使用された歌声の多くは、フレディ本人の声だったようなのである。
唯一無二。
孤高。
フレディの歌声には、こんな言葉が似合う。
人物の再現性に関しては、筆者はよく分からない。
彼らと同時期を生きたわけではないので、彼らの振る舞いや言動にリアリティがあるのかは定かではない。
ただ、ビジュアルに関しては、ベースのジョン役の俳優が、本人に結構似ていてニヤリとさせられた。
フレディもあそこまで歯が出ていたのかは知らないが、そこそこ似ている。
そして少しネタバレになるが、クライマックスのシーン、「Live Aid」での彼らのパフォーマンスは、圧巻である。
何度も動画サイトで彼らのライブを観たが、フレディの動きは勿論、ピアノの上の紙コップの数等、細かい部分まで正確に再現されていて、完成度の高さに驚いた。
そして、落ち目だったクイーンの復活を印象づける演出も上手く、存分に楽しめた。
音楽的にも、物語的にも言うことはない。
個人的に、筆者の好きな曲「Good Old Fashioned Lover Boy」が流れなかったのは残念であるが、文句は言うまい。
無論、フィクションも織り交ぜた映画になっているとは思う。
話が出来すぎているなと思う部分はあるが、ストーリー上の演出のためであろう。
とにかく、クイーンのことを知ってる知らないに関わらず、皆が大いに楽しめる映画になっている。
こういった音楽で魅せる映画は、映画館で観るに限る。