既に何度も述べているが、筆者夫婦にとって夫婦喧嘩は日常茶飯事である。
小競り合いなら毎日のようにしているし、大げんかも月に複数回はある。
結婚当初は週に一度以上は大きな戦争をしていた。
最初は喧嘩が嫌で嫌でたまらなかったが、いつからか喧嘩してお互いの意見をぶつけなければ分かり合えないんだな、という境地に達した。
ただし、喧嘩をふっかけてくるのは専ら妻である。
決して筆者ではない。
いい大人である筆者は余程のことがない限り、自分からは怒らない。
しかし妻がふっかけてきたら話は別である。
大抵のことは我慢していられるが、ネチネチと人格を攻撃されたら、たまったものじゃない。
怒りは一気に沸点へと到達する。
世の中の女性に言いたい。
人格否定はアカン!
絶対ダメである。
映画館で上映中に電話するのと同じくらいの禁忌、
彼氏に、私と仕事どっちが大事なのよ、と迫るのと同じレベルのタブーである。
さて、顔を合わせれば喧嘩という状況なので、当然ながら、家の中だけでなく外でも頻繁に喧嘩する。
しかしそこは八方美人で内弁慶の妻である。
決して人前では事を荒立てない。
頭にくることがあってもすぐには怒らず、人通りがまばらになったり、車に乗ったタイミングで怒るのである。
筆者からすれば、思いもしない時に怒られるのであるから、いつも驚いてしまう。
しかも、気に食わなかったことをまとめて言うから、たまったものじゃない。
多い時には数時間分の怒りがまとめてやってくるのである。
しかも1つ1つがねちっこい。
話がつまらない。
表情が暗い。
もっと声を出せ。
もっと気を利かせろ。
こんな具合である。
たまったものではない。
とても筆者一人では受けきれない。
受けきれず、こちらも怒りだすのである。
ふざけんな、と。
お前の笑いの感覚がおかしいんだろう、と。
いつまでお姫様気質でいるんだ、と。
そんなに嫌なら別れてやるよ、と。
嘘である。
そんなこと言えるわけがない。
筆者がしている反論は、ひたすら「そんな言い方はないだろう」と憤慨してみせるだけである。
こんな喧嘩がレストランで食事している最中にも発生する。
というか、筆者が怒られるのは大体食事中である。
長時間互いに向かい合っているのに、話がなかなか続かないからである。
妻も積極的に話すわけではない。
どちらかというと聞き役である。
困ったことに高い料理を注文したときほど、こういうことが起こる。
コース料理だと、食事の時間が長いからである。
折角いい料理なのに。
下調べも予約も支払いも全部こっちなのに。
やりきれない。
やりきれないから、当然料理も美味しくない。
美味しいものを食べているのに、何故美味しくないのか。
まるで謎かけである。
どうやったら妻に認めてもらえるのか、という謎もまだまだ解けない。
筆者にとっては、一生ものの謎なのである。